臨床研究法について

 INDEX 

【臨床研究法について】

【臨床研究法の概要】
 (1)臨床研究の実施に関する手続
 (2)製薬企業等の講ずべき措置

【臨床研究法の対象となる臨床研究】
 (1)臨床研究法の対象となる研究
 (2)特定臨床研究

 (3)人を対象とする医学系研究の規制範囲
 (4)研究責任医師、分担医師の責務


 臨床研究法について

 臨床研究は、医薬品・医療機器等の開発候補物質が実用化可能かといった開発の探索的研究手段として、重要なものです。
 また、同種同効薬同士の有効性に関する比較研究や、手術と抗がん剤の組み合わせとの関係で最も効果的な医薬品投与時期の研究など、様々な診療ガイドライン等の検討を行う場面においても臨床研究が実施されています。
 医薬品等の承認申請を目的とする臨床研究(治験)や再生医療法の対象となる一部の臨床研究を除いた多くの臨床研究は、人を対象とする 医学系研究に関する倫理指針に基づいた実施が求められていました。
 しかし、臨床研究の不適切事案を契機とした臨床研究の規制のあり方についての議論を受けて、「臨床研究法」が平成29年4月7日に成立、同月14日に公布され、平成30年4月1日に施行されることとなりました。



 臨床研究法の概要

【参考】 臨床研究法の概要 (令和2年7月7日(厚生労働省))

(1)臨床研究の実施に関する手続

 特定臨床研究の実施に係る措置
  1. 以下の特定臨床研究を実施する者に対して、モニタリング・監査の実施、利益相反の管理等の実施基準の遵守及びインフォームド・コンセントの取得、個人情報の保護、記録の保存等を義務付け。
  2. 特定臨床研究を実施する者に対して、実施計画による実施の適否等について、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会の意見を聴いた上で、厚生労働大臣に提出することを義務付け。
  3. 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する者に対して、実施基準等の遵守及び認定臨床研究審査委員会への意見聴取に努めることを義務付け。
 重篤な疾病等が発生した場合の報告
  1. 特定臨床研究を実施する者に対して、特定臨床研究に起因すると疑われる疾病等が発生した場合、認定臨床研究審査委員会に報告して意見を聴くとともに、厚生労働大臣にも報告することを義務付け。
 実施基準違反に対する指導・監督
  1. 厚生労働大臣は改善命令を行い、これに従わない場合には特定臨床研究の停止等を命じることができる。
  2. 厚生労働大臣は、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のために必要な場合には、改善命令を経ることなく特定臨床研究の停止等を命じることができる。

(2)製薬企業等の講ずべき措置

  1. 製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に対して資金を提供する際の契約の締結を義務付け。
  2. 製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に関する資金提供の情報等の公表を義務付け。



 臨床研究法の対象となる臨床研究

(1)臨床研究法の対象となる研究

 臨床研究法では、法の対象となる研究を以下としています。

この法律において「臨床研究」とは、医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究(中略)をいう。

  1. ここでの「医薬品等」とは、医薬品、医療機器、再生医療等製品をいいます。
  2. 「医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究」とは、当該医薬品等の有効性(性能)又は安全性を明らかにする目的で、 医薬品等を人に対して投与又は使用すること(医行為に該当するもの)により行う研究をいいます。


(2)特定臨床研究

 臨床研究法で規定する「臨床研究」のなかでも、以下の研究は「特定臨床研究」に該当し臨床研究法に順守して実施する義務が発生しますので注意が必要です。

・「未承認・適応外の医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究」
・「当該医薬品等の製造販売業者等から研究資金の提供を受けて実施する臨床研究」

 なお、「特定臨床研究」に該当しない「臨床研究」は、「非特定臨床研究」といい、臨床研究法に従って実施するよう努めることが求められています。



(3)人を対象とする医学系研究の規制範囲

 ご自身の計画されている研究が「法で規定する臨床研究」や「特定臨床研究」に該当するかについては、下記チェックリストにてご確認ください。
 また、ご不明な場合は問い合わせフォームよりご相談ください。

 ・特定臨床研究の該当性に関するチェックリスト(厚生労働省)


【参考】
  人を対象とする医学系研究の振り分けイメージ (PDF



(4)研究責任医師、分担医師の責務

 特定臨床研究を実施するにあたって研究責任医師等は、以下の事項を遵守することが義務付けられています。また、違反した際は罰則が適用される場合があります。

  1. 適切なインフォームド・コンセントの取得
  2. 記録の作成保存
  3. 研究対象者の秘密の保護
  4. 十分な教育・訓練
  5. 省令・実施計画書の順守
  6. 情報の公開
  7. 認定臨床研究審査委員会への報告
  8. 厚生労働大臣への報告
  9. 厚生労働大臣からの緊急命令、改善命令への対応、厚生労働大臣の立入等への対応 等

【参考】 罰則一覧